二〇〇八年 六月 十六日(

旧暦 五月十三日 大安
戊子年 五月十三日

パンク

スクーターでツーリング。西伊豆の海岸沿いの道を走行中、後輪の踏ん張りが効かないのに気づく。
路肩に停めて見てみると、やはりだいぶ圧が下がってる。

少し走って小さなガソリンスタンドで空気を入れさせてもらう。
タイヤの表面を手のひらでなぞっていくと、5ミリぐらいの小さなキズから勢いよく空気が吹き出してるのがわかる。

「ウチはクルマのパンクは直すけど、バイクはやらないんだよねぇ」と元ヤン風のおっちゃん。
エアーのホースを出すのにえらく手間取っていた時点で、このスタンドで直してもらえるとは思ってなかったけど、聞くよりも先に言わなくてもいい。どうせクルマのパンクでも、と思ったけど言わなかった。
パンク修理のできるところをと聞いても、「バイクのができるところはわかんないねぇ」とにべもない。

仕方がないので、徐々に圧の下がっていく後輪を騙し騙し次の町へ。
バイク屋か自動車修理ができるところが訊けるだけでも、と思ってまたガソリンスタンドへ。

還暦を迎えていると思われるが元気ハツラツなオヤジさんと小さな奥さんのいるスタンドだった。

このオヤジさん、「どうも後輪がパンクしたみたいで・・・」と聞くと、「ちょっと見てみるね」とスクーターをガレージまで引っ張っていき、いきなりクルマ整備用の油圧リフトにスクーターを乗せリフトアップ。何も聞かないうちからやる気まんまんである。
というより、下手な素人の説明を聞くより自分で確かめるということか。

ただちにキズを見つけたオヤジさん、錐状の道具でキズをグリグリとやって、「ガラスだね。多分。」
案の定小さな3ミリ角ぐらいのガラスのかけらがほじくり出された。
キズにゴムの補修材を埋め込んで、空気を充填。これで修理完了・・・のはずが、その補修材のゴムの脇からまだ空気がわずかに漏れている。

「ダメだね。中にもっと大きいのが刺さってるよ。裏から取らないと。」と言いつつ、もうレンチを持ってきて後輪をはずしにかかる。
ホイールをタイヤ交換用の台に固定し、タイヤをホイールから取り外して、タイヤを裏側から一瞥。
「これだ。」と見せてくれたのは先ほどのものより少し大きめのガラス片。薄く茶色い色が付いている。
「ビール瓶かね。珍しいもん拾ったね。ダイヤモンドなら良かったのにねぇ。同じ拾うなら。」
あれこれ冗談もいいながら、なれた手つきでタイヤの内側から修理用のパッチをあてる。

「裏から直せば完璧。クルマもバイクも一緒だよ。最近じゃめんどくさがって修理せずに交換しちゃう店も多いけどね。」
たぶん、タイヤ屋に在庫があれば、売った方が売り上げはあがるし、手間も少ないわけだし、そういうことになってるんだろうな。

そういえばずいぶん前にクルマに乗ってたとき、換えて半年ぐらいのタイヤに金属片が刺さってパンクして、某大型店で同じようなこと言われて一本だけタイヤ交換したっけ。

そうこうしているうちに、後輪のホイールが組み付けられ、今度こそほんとに修理完了。
「このスクーターはマフラーを外さなくてもよかったから、早くできたよ。」
じっさい、スタンドに入ってから約30分で作業が終わってる。(その間2組ぐらい給油の対応もしつつ。)

以上で工賃2,500円+税。見知らぬ土地で救われた分を差し引いても、ずいぶん安い気がしてしまうのだった。

ツーリング中に自宅から遠く離れた場所でパンクというのは初めての体験だったけど、それでこういうスタンドとオヤジさんに巡り会えるとは、僕のツーリング運はそれほど悪くない。
前後数十キロ、一台のすれ違いもない山道も走りながら、田舎とはいえ幹線道路でパンクしたわけで。

しかし、考えてみれば、自宅の近所でも、こういうガレージにリフトのあるような昔ながらのスタンドって、ほぼ絶滅してしまった。大型化され価格を競ってくれるのは良いけど、こういう安心感はなくなった。セルフのバイト店員には、こういう作業は無理だろうし、そもそも設備がないし。
つまり、都会の大きな幹線道路でも、こういうスタンドに巡り会う可能性はすごく低かったのかもしれないわけで。バイク屋だって、そうそうあちこちにあるわけではないし。

少なくともこの日に限っていえば、僕はすごく幸運だった。

オヤジさんに心から感謝しつつ、百数十キロ無事走りきって帰宅。

Posted by mura at 2008年6月16日 13:50 | トラックバック
コメント

日本人の鏡のようなオヤジさんですね。
昨今では色々状況的にむづかしいのかもしれないけど、
それでも姿勢としていい加減なことしない人好きです。

Posted by: けいこ at 2008年6月16日 21:34

こんばんは。お久しぶりです。引越し後子供のことでいろいろあって眠れずに見てみました。相変わらず元気そうですね。秋葉原の事件を見たときにはなぜか真っ先に思い出して大丈夫かなあと心配していました。車にはよく乗りますが、バイクは気持ちよさそうですね。引越し後は前回とは違って車にも乗って出かけたりしています。時代には合わないかもしれませんが。。。エコの点からは怒られそうですね。

Posted by: 0798 at 2008年7月 4日 02:17

あんまり元気でもないです。2週続けてツーリングに出かけたら腰が痛くてたまりません。歳ですな。

クルマで動きまわれるぐらいの街がいいんですよ。
でも、ガソリンも上がってきたし大変ですよね。

Posted by: mura at 2008年7月 4日 23:25
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