二〇〇五年 八月 二十一日(

旧暦 七月十七日 大安
乙酉年 七月十七日

「流星ワゴン」

重松 清 (著) 講談社文庫 Amazon

最近、大事なものをなくしたひと、築き上げてきたものが壊れちゃったひと、そういう人が読むとクスリになるかもしれない物語。

原因のわかっている失敗は、ショックは大きくてもそんなにツラくない。
そうではなく、原因がよくわからない細かな失敗の積み重ねで失うものは、悔やみたくても悔やむことも出来ず、急に突きつけられる喪失感の大きさで心が潰されそうになる。自分を支えてきたすべての綱がちぎれたような気持ち、もうなにも救いがないような感じ。
この物語は、そんなときに自分を救ってくれるものが、どこにあるのかを思い出させてくれるかもしれない。

ただし、僕にとっては、ちょっと違う意味で、この物語は迫ってきた。

偶然にも、この主人公と僕はほぼ同年代。住んでいるところも似たような場所。
でも、僕にはこの主人公が失って苦しむ家庭も、何もない。
主人公は、たしかに自分が築いた幸福な家庭について、その思い出を一つ一つ手繰り寄せ、また、苦い思いを伴う記憶と闘いながらも自分と父親の関係を再確認していく。
その回想の過程が、すなわちこの物語でもあるのだけど、読みながら、僕にとってはそんなふうに手繰り寄せるべき記憶が、思い出が、あまりにも少ないことに気づいて愕然となった。

壊れかけたものは、まだ修復できる可能性がある。失ったものも、何か違った形で取り戻すことができるかもしれない。

でも、得ることの出来なかったものはまた、失うことも出来ない。
そのことも、ある意味とてもツラい。
その部分をこの物語は突いてきた。
その点、作者の表現したい意図とはちがったかもしれないけど、泣けた。

Posted by mura at 2005年8月21日 19:41 | トラックバック
コメント

よかったですね、っていうのも変ですが。

手に入れてもしょうがないと思わずに、
幸せ目指して突き進んでほしーです。

人生一回こっきり!

Posted by: eiko at 2005年8月22日 00:49

しょうがないなんて思ってませんよ(笑)。
なかなかそういうめぐり合わせにならないだけで。

ところで、このお話、男の主人公と父親、息子、妻、とのそれぞれの関係が軸になってるんで、完全に男の目線の話なんですよね。で、僕なんかはそれで泣かされる。

女性が読んでどう感じるのか、もしよかったら読んでみてください。

Posted by: mura at 2005年8月22日 09:52
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